◆ 日常は取り戻せたのかな? ◆
2019年12月に中国の湖北省武漢で最初の感染者が報告され、翌月の2020年1月に国内初の感染者が確認されてから一ヶ月強で国内の累計感染者数が100人を超え、3月に入ってすぐに全国の小中学校が休校になったことを始まりとして日本国内でも猛威をふるい続けた新型コロナウイルスでしたが、今年の5月8日に感染症法上の位置付けが5類に移行されたことにより「特別な病気」ではなくなりました。
2020年1月から6月までの第1波に始まり昨年の10月から今年の2月までの第8波まで、およそ3年の間ウイルスは変異を重ねながら感染者増加の波は繰り返し押し寄せました。その間、クラスター、緊急事態宣言、医療逼迫、自粛要請、まん延防止等重点措置など今までは聞きなれなかった言葉が当たり前のように飛び交いました。最初の感染者の確認から5類移行までの約3年半という期間は、テレワークやWeb会議など遅々として進まなかった新しい働き方が必要に迫られて一般的になってきたなど「功」も齎しましたが、観光や飲食、エンターテイメントなどを筆頭に日本全体の経済が低迷を強いられるなど多くの「罪」を齎しました。誰しもが「重苦しい雰囲気」に包まれていた3年半だったのではないでしょうか。
この間の対策や対応には検証すべき点も多いですが、5類移行を機に世の中は「コロナ前」に戻りつつあります。梅雨明け前から物凄い暑さの中マスクを外して歩いていても変な目で見られることもなくなり、Web会議が主流だった税理士会の会議もリアル会議が復活し、懇親会も何ら制限なく開催されるようになりました。顧問先に出向いたり事務所に来ていただいたりする機会も多くなり、「久しぶりですね」と笑い合うことが嬉しい毎日です。直にお互い顔を見ながら話し合うことの大切さを今更ながら痛感させられています。
私は「戦争を知らない子供たち」の一人ですが、地下鉄サリン事件、東日本大震災、新型コロナウイルス蔓延などいくつかの日本全体を包む「未曽有の出来事」に遭遇してきました。その度に普段は気にも留めない「日常」が奪われました。「日常」を当たり前だと思わず、何でもないことに感謝して日々を送りたいものです。
この随筆がアップされる頃に、第9波突入、なんて事になっていないことを祈って筆を置きます。
〔 逗子事務所 大澤 慎一 〕