NEWS FROM ASAHI

朝日だより

税務調査の件数が増加しています(朝日税理士法人だよりVol.227)

2024年02月01日 朝日税理士法人

令和5年11月に「令和4事務年度 法人税等の調査事績の概要」が国税庁から発表されました。これには、税務調査の件数や追徴税額、各種指標のみならず、主な不正の手口や事例を挙げた上での国税庁の主要な取組等が報告されています。今回はこの内容を簡単にご紹介いたします。

※令和4事務年度の調査事績は、令和4年7月から令和5年6月までの間に実施した調査に係るものを集計したものとなります。

 

1.調査事績の概要

・実地調査件数、申告漏れ所得金額及び追徴税額が増加しており、追徴税額は近年の最高値

・悪質な納税者には厳正な調査を実施する一方で、その他の納税者には簡易な接触を実施

 

実地調査の他に、簡易な接触での調査もあります。簡易な接触とは、税務署等において書面や電話による連絡や来署依頼による面接により、納税者に対して自発的な申告内容の見直しなどを要請するものです。

 

<法人税・消費税>

・実地調査件数 62千件 前年比152.3% 

・簡易な接触   66千件 前年比 99.3%

大口・悪質な不正計算等が想定される法人など、調査必要度の高い法人6万2千件について実地調査が実施されました。 その結果、申告漏れ所得金額は7,801億円、追徴税額は3,225億円、調査1件当たりの追徴税額は5,241千円となっています。簡易な接触事績は、申告漏れ所得金額は78億円、追徴税額は71億円となっています。

 

<源泉所得税>

・実地調査件数 72千件 前年比151.8%

・簡易な接触 130千件 前年比100.6%

実地調査の件数は7万2千件であり、源泉所得税等の非違があった件数は2万2千件、追徴税額は338億円、調査1件当たりの追徴税額は467千円となっています。簡易な接触事績の追徴税額は76億円となっています。

 

2.主要な取組

国税庁が主な不正の手口や、源泉徴収漏れの例として実際に追徴課税となった事例を紹介しています。

・消費税還付申告法人に対し、 総額563億円を追徴(うち、不正還付138億円)。国内売上(課税)を輸出売上(免税)に仮装

 

調査法人は輸出物品販売場(いわゆる免税店)を経営する法人であり、外国人旅行者に対して高級腕時計を多数販売(免税)したとして、多額の消費税還付申告書を提出していました。実地調査を行ったところ、調査法人は消費税の還付金を不正に受領するため、国内売上をブローカーが用意した協力者(非居住者)に対する免税売上に仮装している事実を把握しました。

 上記の取組以外にも、海外取引に係る不正の手口や、売上金を代表者の口座に直接振込をさせ、その取引内容に関するデータを削除する事で取引を隠ぺいした脱税行為に係る不正の手口や、非居住者の代物弁済による不動産譲渡に係る源泉徴収漏れに関する取組も公表されております。

 

3.参考計表

下記のような参考計表の他、法人税、消費税、源泉所得税等の調査事績、無申告法人に対する実地調査の状況などのさまざまなデータが公開されています。

 

・不正発見割合の高い業種

1位 その他の飲食         36.2%

2位 廃棄物処理          29.4%

3位 中古品小売          28.7%

・不正1件当たりの不正所得金額の大きな業種

1位 計量器、医療機械等   85,482千円

2位 運輸附帯サービス    63,695千円

3位 鉄鋼卸売        58,822千円

 

4.令和6年度以後の動向は?

前述した通り、令和4年事務年度は実地調査件数の前年比が大幅に増加しています。今後も増加していく傾向で、コロナ禍前の水準に戻ると思われます。税務調査の経験が豊富なメンバーがそろっておりますので、ご不明な点やご心配な点等がございましたら、弊社担当者までお気軽にご相談ください。もちろん、日頃の税務顧問業務の中で適切な税務判断を行っておりますのでご心配なく!

文責:関内本店 斎藤 親志

カテゴリー

月別アーカイブ