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朝日税理士法人のブログを掲載します。

◆ グループ通算法人の地方税欠損金 ◆

2024年11月18日 BLOG

以前にあった連結納税制度が、令和4年4月1日以降開始事業年度よりグループ通算制度となりました。完全支配関係のあるグループ会社が、税務署長の承認を受けることで、グループ内の各社の損益を通算できる仕組みです。損益通算のイメージは下記のとおりです。P社が親会社、S1社、S2社が100%子会社です。

 

グループ通算制度でなければ、P社は30,000に、S1社は10,000に法人税率を乗じて法人税を納付する必要があるのですが、グループ通算制度により、P社は22,275にS1社は7,425に法人税率を乗じて法人税を納付すれば足りることになります。ただし、S2社は過去の繰越欠損金も無くなり、当期の欠損も翌期には繰り越されません。

この、グループ通算制度は国税だけの適用で、法人住民税、法人事業税には適用がありません。法人住民税の法人税割の課税標準は、法人税額、法人事業税の課税標準は、法人税の所得です。S2社は、グループ通算により、過去の繰越欠損金(‐300)も当期の欠損金(‐10,000)も使われてしまったので、翌期以降、S2社にプラスの所得が出ると、法人住民税や法人事業税の納付が生じないか不安です。

 

【法人事業税の取り扱い】法人事業税は、グループ通算が無かったとしたら、計上される欠損金がそのまま、申告書に計上されます。つまり、‐300の欠損金も‐10,000の欠損金もS2社の法人事業税の申告書で翌期に繰り越されます。

 

【法人住民税の取り扱い】法人住民税の取り扱いの趣旨も事業税と同じなのですが、課税標準が法人税なので、金額の作り方が少し異なります。当期発生欠損金に相当するのが、10,000×23.2%=2,320で控除対象通算対象所得調整額と言います。繰越欠損金に相当するのが、300×23.2%=69で控除対象配賦欠損調整額と言います。これらの法人住民税の欠損金がS2社の法人住民税の申告書に記載され、翌期に繰り越されます。

 

これらの取り扱いにより、S2社は、翌期以降も地方税においては、単体申告と同様の欠損金の取り扱いを受けられることになります。ということは、この期のP社およびS1社は通算前の所得30,000や10,000を基礎として、法人事業税、法人住民税を納付することになってしまいます。

社員税理士 半田 茂

 

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