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朝日税理士法人のブログを掲載します。

◆ 法人税の交際費に関する規定 ◆

2024年6月17日 BLOG

 会社が支出する社外の取引先等関係者との接待飲食費のうち、一人当たり5千円までのものについては、参加者の自社との関係(得意先、仕入れ先など)と氏名や参加人数などを記載した一定の書類を保存することを要件に損金(税務上の経費)とすることが認められていましたが、今年の4月1日から一人当たり1万円までに引き上げられました。昨今の物価上昇により一人当たり5千円の基準が現実的ではないな、と感じていたのは私だけではなかったようで、この改正を歓迎する人も多いのではないでしょうか。この改正を機会に法人税における交際費等についての取り扱いを整理してみることにしましょう。

 

 法人税においては、交際費等とは「法人が、事業に関係ある者に対する接待、供応、慰安、贈答等のために支出したもの」と定義されていて、原則として損金とすることは認められていません。この定義に書かれているような支出であっても、福利厚生費、会議費、広告費、寄付金などに該当して交際費等から除かれる支出もありますので、まず入り口での判断が重要になってきます。そして、今回5千円から1万円に引き上げられた一定の要件を満たした接待飲食費も交際費等から除かれる支出とされています。

 

 交際費等は原則として損金とならないとお話ししましたが、会社の規模に応じて一定の額を損金とすることが出来る措置が設けられています。期末資本(出資)金1億円、100億円と刻んでそれぞれ規定されていますが、ここでは一番規模が小さい法人(5億円以上の法人の100%子法人等一定の法人を除いた1億円以下の法人)について見てみることにしましょう。

 

  1. 800万円にその事業年度の月数を乗じ、これを12で除して計算した金額
  2. 飲食その他これに類する行為のために要する費用(専ら自社の役員、従業員、それらの親族のために支出するものを除く)の50%に相当する額

 

 上記のいずれかの額を損金とすることが出来ますので、通常は多い額の方を選択することになります。小規模な法人については、ここ十数年の間にかなり損金とできる額が増えてきた感じがします。従業員数人の会社では、支出する交際費等の額が年800万円に満たない会社がほとんどと言った印象もあります。ただ、税務調査の際には接待相手先を開示するよう求められることが常態化していますので、相手先を記録しておくことは必要でしょう。

 

 会社の関係先と良好な関係を築くためにコミュニケーションを深めたり謝意を表すために必要な経費が交際費等ですが、法人税の計算に影響を与える支出でもありますので、その意味を理解していただくことが必要と考え、今回交際費等の話をさせていただきました。会社の規模の判定や交際費等から除かれる支出の詳細など、ここには書ききれないことも沢山ありますので、いつでも相談してください。

 

社員税理士 大澤慎一

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