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朝日税理士法人のブログを掲載します。

◆ 従業員社宅にまつわる給与課税のお話し ◆

2024年10月22日 BLOG

 少子高齢化が進んでいる影響もあり、人手不足に悩んでいる経営者も多いのではないのでしょうか?良い人材を確保し定着率を向上させるために、働き易さですとか福利厚生の充実を考えている方も多いと思います。その一環として社宅といった制度があります。社宅とは、自社の従業員に比較的安い賃料で住居を賃貸する制度ですので、従業員にとっては周辺相場より安い賃料で住居を借りることが出来、その会社で働いていることについての満足度がアップすることになるでしょう。

 

 会社が安い賃料で従業員に住居を提供するわけですので、従業員に対する利益の供与として所得税が掛かってしまうのではないかといった疑問が生じます。今回は、従業員社宅について所得税ではどのように取り扱われているのかについてお話しすることにします。

 

 似たような制度に住宅手当の支給や従業員が自分で契約している物件の家賃負担がありますが、これらの場合は従業員の給与としてその全額が課税対象とされます。あくまでも自社の物件か自社が借り上げた物件を従業員に貸与する場合の話だということを前提にしてください。

 

 簡単にお話ししてしまえば、使用人から一ヶ月あたり賃貸料相当額と言われる額の50%以上を受け取っていれば給与としての課税は行わなくても良いことになっています。従業員社宅家賃を決定するときに重要な要素となる賃貸料相当額は次の計算で算出された3つの額の合計額になります。

  1. (その年度の建物の固定資産税の課税標準額)×2%
  2. 12円×(その建物の総床面積(平方メートル)/3.3(平方メートル))
  3. (その年度の敷地の固定資産税の課税標準額)×22%

 

 従業員社宅を無償で貸与した場合には賃貸料相当額が、賃貸料相当額の50%未満を受け取っている場合には賃貸料相当額と受け取っている賃料との差額が給与として課税されることになります。この取り扱いは所謂借り上げ社宅でも同じですので、貸主等から固定資産税の評価額などを確認することが必要になってきます。

 

 今回は従業員社宅制度について給与として課税されるか否のお話をさせていただきましたが、役員社宅については従業員社宅とは異なる判定基準となっていますし、借り上げ社宅の場合で固定資産税の課税標準額などの計算資料の入手の仕方が分からない場合など色々判断に迷うことも多いと思います。また、業務上どうしてもその場所を住居としなければならない場合に社宅や寮の貸与が必要になるといったケースなどもあるでしょう。そんな時は迷わず私たちに相談してください。

 

社員税理士  大澤 慎一

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