日本には外国人旅行者を対象とした消費税免税制度があり、税務署の許可を受けた販売場(免税店)において、外国人旅行者等の非居住者に対して所定の方法で販売する場合には消費税が免除されることとされています。わが国では、2014年以降、訪日客の消費拡大に向けた施策の一環として、対象品目の拡大や最低購入金額の引き下げなど、段階的な制度拡充を実施してきました。その結果、訪日客の免税消費額は堅調に増加しており、日本百貨店協会に加盟する87店舗の2024年(1~12月)の免税総売上高は過去最高の6,487億円(前年比85.9%増)で、コロナ禍前の2019年を87.7%上回ったそうです。
しかし、その一方で、この制度を利用した不正が横行しているとも言われています。消費税免税制度は、外国人旅行者が、おみやげ品などを国外へ持ち帰ることは、実質的に輸出と同じという考えから設けられている制度ですが、現実には、多額の免税購入品が国外に持ち出されず、国内で横流しされる不正事案が多発しています。また、出国時に免税購入品を所持していない旅行者を補足し即時徴収を行おうとしても、旅行者に資力がないために徴収できないというケースもあるようです。
そこで、2025年度税制改正大綱では、外国人旅行者向け消費税免税制度について、いわゆるリファンド方式へ抜本的に見直す方針が打ち出されました。リファンド方式とは、外国人旅行者が免税店の商品を購入する際に、消費税抜きの購入価額(免税価額)で購入するのではなく、消費税込みの購入価額(税込価額)で購入し、後日、税関で持ち出し確認を受けることによって、帰国後に消費税額の還付を受ける方式です。
また、税制改正大綱は、2026年11月以後の購入から適用する免税対象物品の範囲の見直しについても言及しています。たとえば、化粧品・食品・薬など消耗品について免税購入対象者の同一店舗での1日あたりの購入上限額(50万円)と特殊包装を廃止します。消耗品については、日本国内で使ってしまうと輸出にならないことから、現行制度では、免税店において出国までに破損しない十分な強度がある箱や袋で梱包して、開封したことが分かるシールで封印する必要があります。しかし、リファンド方式では税込価額で購入しているので、上記のような特殊包装も不要となり、消耗品を日本で使用しても構いません。その代わり、国外にも持ち出されていませんので帰国後に消費税の還付を受けることはできなくなります。
社員税理士 泉 俊史