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朝日税理士法人のブログを掲載します。

◆ 将来の認知症に備えて財産管理を適切に行うために何をすればよいですか? ◆

2025年4月14日 BLOG

認知症になってしまうと法律行為が制限されてしまいます。このため、資産家の皆さんは将来の認知症リスクに備えて以下のことに取り組んでください。

 

  1. 任意後見契約の締結

認知症になった場合に備え、信頼できる人(親族や専門家)を後見人として選び、財産管理や契約手続きを任せる 「任意後見契約」 を公正証書で締結しておきます。これにより、判断能力が低下しても適切な管理が可能になります。ただし後見人が家族以外の職業後見人(司法書士や弁護士)の場合、報酬が発生します。

 

  1. 家族信託(民事信託)の活用

資産を信頼できる家族(受託者)に託し、自分(委託者)が認知症になった後も、指定通りに管理・運用・分配してもらう方法です。これにより司法の監督を受けずに柔軟な資産管理ができることにあります。また、遺言と異なり、生前から財産の管理を受託者である親族に移行できます。ただし、信託契約書の作成は難しいため専門家に頼むと相当額の報酬が掛かり、また毎年支払調書を作成しなければならないなど手続きが発生し、その後の制度の維持管理も多少複雑になります。

 

  1. 遺言書の作成

認知症を発症する前に遺言を作成し、親族や世話になった人への財産の分配を明確にしておくことで、自分の意思で財産の行く先をコントロールし相続トラブルを防ぐことができます。ただし、遺言書の効力は相続が開始しないと生じませんので、生前中に認知症になってしまった場合は発症以後相続開始までの期間、法律行為は制限されます。また、遺言書は何度でも書き換えが可能であるため、相続開始後に何通もの遺言書が出てきて相続人間でトラブルが発生するケースがあります 。

 

  1. 財産の整理と見える化

どの金融機関にいくらあるのか?

現金預金、株式、不動産などの資産リストと銀行借入金や債務保証などの債務リストを明確にしておきましょう。つまり認知症になる前に自分自身の財産の棚卸をして、今ある財産の額及びその構成上の問題点をしっかりと把握します。そして認知症対策として大事なことは、その情報を財産を引き継ぐ家族や信頼できる専門家と共有し、将来起こりうる問題について話し合い今後の対応策を考えることです。。

 

  1. 生前贈与や保険の活用

認知症になる前に、相続税対策として 生前贈与 や 生命保険 の活用を検討します。生前贈与は将来発生する相続税への備えとして有効ですが、現金を生前贈与するためには相応の資金力が必要です。また、生前贈与の方法について専門家に相談し、後からその生前贈与が無効と税務署に認定されないようにしましょう。

相続人を受取人とする生命保険契約は相続税課税の際に一定の非課税枠があり、その生命保険金を受け取った相続人は一定金額まで相続税が課税されません。また、受取人が保険契約者以外に指定されている生命保険金は遺産分割の対象外になりますので相続後すぐに現金が必要な親族には有効です。

 

上記の対策は家族によって向き不向きがあります。ご自身もしくはお父様お母さまの将来の判断力に不安がある場合には朝日税理士法人にご相談ください。

理事長 石井 孝雄

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