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朝日だより

関東と関西で異なる不動産売買の話~固定資産税~(朝日税理士法人だより資産税版Vol.136)

2022年03月01日 朝日税理士法人だより 資産税版

 不動産を売買するときは、固定資産税の負担を巡って売主-買主間で調整することになります。

 いわゆる精算金というもので、固定資産税の年額を日割計算し、引き渡し日までの日数分を売主が負担し、それ以降の分は買主が負担するというものです。

 1年間のうち、所有していた期間に応じてその固定資産税を負担するのは当然のことですよね。

 例えば、年税額が10万円だとします。このうち6カ月間を売主が所有、残りを買主が所有となれば共に半年ずつ所有しているので、10万円÷2=5万円となり、それぞれが5万円を負担しましょう、となります。

 ところで、この固定資産税の精算において関東関西では異なる精算方法がとられています。それは納める年額の「起算日」をどこに定めるか、という違いから生じています。

どういうことか?詳しく見ていきましょう。

 

●関東と関西での計算方式の違い

 関東では1月1日を基準日とし、1月1日から12月31日を1年(365日)として精算します。これを「暦年方式」と言います。

 例えば7月1日に売買があれば、1月1日から6月30日までは売主負担、7月1日から12月31日は買主負担として年額を日割計算します。非常にわかりやすいですね。

 一方関西では、4月1日を基準日とします。

 これを「年度方式」と言い、4月1日から3月31日を1年として計算します。

 7月1日の売買ならば、4月1日から6月30日までが売主負担、7月1日から3月31日までが買主負担となります。

 この場合「暦年方式」では売主負担分が大きく、「年度方式」では逆に買主負担分が大きくなっています。

 一見、関東では買主有利、関西では売主有利とも思えますが、有利不利、という問題ではなく商習慣の違いでそうなっています。

 

 ではどうして基準日に違いがあるのでしょうか。

「暦年方式」には1つ大きな問題点があります。それは年の途中である4月1日で新年度税額となることです。

 前年度の税額から変更があった場合、1月1日から3月31日までは前年度額で、4月1日から12月31日までは新年度額で日割りした合計365日を年額として計算しなければなりません。

 例えば2月1日に売買した場合、2月1日から3月31日分は精算できますが4月1日の新年度納税通知が売主に来てしまうので、この分の精算を2月1日の売買の後もう一度しないといけなくなる面倒があります。

 この大きな問題点を踏まえると、関東と関西での違いについてある程度の想像ができます。

 一般的に、新年度に税額変更があったとしてもさほど大きな差が出ないのが現状です。よって、大きな変更額でない限り、前年度税額で全てを精算し、年をまたがず日数計算がしやすいとする暦年方式を関東では習慣としました。

 そこには、面倒なことを嫌い、早く終わらせたいとするせっかちな江戸っ子気質のある関東に合っているから、とみることができます。

 一方で、関西は商売人気質が強いので、きっちり計算のできる年度税額を基準としています。関西では2度の精算をするような面倒ごとよりもきっちりと精算する方がよいとする風潮が強く、年度方式となったのではないでしょうか。

 ともあれ、これは商習慣であり絶対ではないので、当事者の合意で変更はできます。ご承知おき下さい。

 

おわりに

 不動産売買は一生のうちにそう何度もある取引ではないかと思います。不動産売買など取引についてご不安な点がありましたら、朝日ビジネスコンサルティンググループにお気軽にご相談ください。

(文責:司法書士 山口亮二)

 

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