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朝日だより

令和4年度税制改正大綱(朝日税理士法人だよりVol.203)

2022年02月01日 朝日税理士法人

 

 令和3年12月24日、令和4年度税制改正大綱が閣議決定されました。岸田内閣が推進する「新しい資本主義」、成長と分配の好循環の実現に向けて、それを意識した内容となっています。主な柱として、賃上げに係る税制措置の抜本的な強化、 スタートアップの促進があり、その他様々な税制について期間の延長や要件の緩和などが盛り込まれました。特に住宅ローン減税制度の見直しは影響のある方も多いと思います。紙面の関係上全てのご説明はできませんが、その一部をご紹介いたします。

 

1.個人所得課税

住宅ローン控除制度の見直し

 現在の令和3年12月31日までの適用期限を令和7年12月31日まで4年延長します。

 控除率が現行の1%から0.7%へ、所得要件が3,000万円以下から2,000万円以下へ引き下げられた一方で、令和4~5年に居住の用に供した場合は控除期間が10年から13年に延長、所得1,000万円以下の場合は床面積要件が50㎡以上から40㎡以上へ引き下げられました。

 

2.資産課税

住宅取得等資金贈与に係る非課税措置の見直し

 住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置について、格差の固定化防止等の観点を踏まえ見直しがされます。非課税限度額は耐震・省エネ住宅は現行の1,500万円から1,000万円に、その他の住宅は現行の1,000万円から500万円にそれぞれ引き下げられました。一方で築年数要件が廃止され、受贈者の年齢要件は20歳以上から18歳以上に変更され、適用期限は2年延長となりました。

 

土地に係る固定資産税等の負担調整措置

 土地に係る固定資産税等の負担調整措置について、令和4年度に限り、商業地等に係る課税標準額の上昇幅が評価額の2.5%(現行5%)となりました。

 

3.法人課税

賃上げ促進税制

〇大企業等

 令和5年度末を期限として、継続雇用者給与等支給額の対前年度増加割合が3%以上である場合に、雇用者給与等支給額の対前年度増加額の15%の税額控除の適用ができます。継続雇用者給与等支給額の対前年度増加割合が4%以上である場合には、税額控除率に10%を加算し、教育訓練費の対前年度増加割合が 20%以上である場合には、税額控除率に5%を加算する措置が盛り込まれました。(最大30%控除)

また、一定規模以上の大企業については、給与の引上げの方針、取引先との適切な関係の構築の方針等を自社ウェブサイト等で公表するとともに、その旨を経済産業大臣に届け出ることが必要となります。

 

〇中小企業

 雇用者給与等支給額の対前年度増加割合が1.5%以上である場合に、雇用者給与等支給額の対前年度増加額の15%の税額控除の適用ができます。税額控除の上乗せ措置として、雇用者給与等支給額の対前年度増加割合が2.5%以上である場合には、税額控除率に 15%を加算し、教育訓練費の対前年度増加割合が10%以上である場合には、税額控除率に10%を加算する措置が盛り込まれました。(最大40%控除)

 

オープンイノベーション促進税制の拡充

 出資の対象会社に、「設立10年以上15年未満の売上高に占める研究開発費の割合が10%以上の赤字会社」を追加する等の見直しが行われました。

 

4.消費課税

適格請求書等保存方式に係る見直し

 適格請求書発行事業者の登録について、免税事業者が令和5年10月1日から令和11年9月30日までの日の属する課税期間中に適格請求書発行事業者の登録を受ける場合には、その登録日から適格請求書発行事業者となることができるようになりました。 また、その登録日以後2年を経過する日の属する課税期間までの各課税期間については、事業者免税点制度は適用されないこととなります。

 

5.納税環境整備

電子帳簿保存関係の宥恕措置の整備

 令和3年度の電子帳簿保存法の改定に伴い、令和4年1月1日以降に行う電磁取引データから書面に出力し保存することが廃止されましたが、移行が間に合わない事業者への配慮として、令和4年1月1日から令和5年12月31日までの2年間、事業者にやむを得ない事情があり、かつ、出力できる書面を提示または提出できる場合には、法令に定める保存要件に関わらず、その電磁的記録の保存をすることができることとする宥恕規定が設けられました。

 

 税制と経済は密接に関係しており、税制改革が日本経済に与える影響は小さくありません。今回の税制改正から、今後の日本経済の行く末を予想するのも面白いかもしれませんね。

 

(文責:関内本店 末光 翔)

 

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