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朝日だより

退職所得について(朝日税理士法人だよりVol.210)

2022年09月01日 朝日税理士法人

 退職金とは、会社員などが退職する際に勤続年数や会社への貢献などに応じて支払われる金銭のことをいいます。

 退職金は、雇用主から支給を受ける点では長期に渡る労働に対する給与の後払いとも考えらえますが、退職後の生活に充てる資金となることが想定され、給与などの一般の所得と同じ方法で計算すると税金が高くなってしまう場合があるため、他の所得と区別し退職所得が適用されています。

 退職所得にも令和3年度の税制改正において退職所得課税が見直され、短期退職手続等の計算方法に改正(令4年1月1日以後開始)が行われています。

 ご存知ない方もいらっしゃるかもしれませんので退職所得の計算方法と短期退職手当の計算方法について簡単に説明をしたいと思います。

 

(1)退職所得の計算方法

退職所得の計算は原則として下記の通り計算されます。

{収入金額(退職金の額)-退職所得控除額※}×1/2=退職所得の金額

 

※退職所得控除額は次のように計算します。

勤続年数20年以下:

40万円×勤続年数(最低80万円)

勤続年数20年超:

800万円+70万円×(勤続年数-20年)

(勤続年数に1年未満の端数が生じる場合は1年に切り上げます。)

 

(2)源泉徴収される税額

 退職金に対する所得税等は、退職金の支給時に源泉徴収されます。「退職所得の受給に関する申告書」を提出しているかどうかで源泉徴収額が異なりますので注意が必要です。

 

①退職所得申告書を会社に提出した場合

退職時に申告書を提出した場合、適正な退職所得の額と所得税額が計算され源泉徴収が行われます。

 

②退職所得申告書を会社に提出しなかった場合

退職時に申告書を提出しなかった場合、退職所得控除が適用されません。退職手当などの金額に20.42%をかけた所得税(復興特別所得税を含む)が源泉徴収されます。

この場合には、所得税等を払い過ぎていることが多いため、改めて確定申告を行い、正しい税額計算をし直す必要があります。

 

(2)短期退職手当等について

 短期退職手当とは勤続年数5年以下で、かつ、役員等でない者の退職金のこといいます。

短期退職手当等の計算方法は次の通りです。

 

①短期退職所得等の収入-退職所得控除額≦300万円の場合

 (短期退職手当等の収入額-退職所得控除額)×1/2

 

②短期退職所得等の収入-退職所得控除額>300万円の場合

 150万円+短期退職手当等の収入-(300万円+退職所得控除額)

 

 改正前は、役員等でない者については2分の1課税の適用がありましたが、短期退職手当等への収入額から退職所得控除額を控除した金額が300万円超える部分について2分の1課税が適用されなくなりました。

 

 近年は終身雇用制度から成果主義の時代へと変わりつつあり、コロナ禍で働き方にも変化が生じています。一つの会社に定年まで働くよりも短期間で転職という雇用の流動化はあるかもしれません。

 ですが現時点では、やはり退職金は将来必要な資金と考えられます。老後資金の2,000万円問題等もあり、将来設計について考えている方も多いかと思います。どのように所得が計算されているのか頭の片隅に留めておかれると、ライフプランに役立つかもしれません。

(文責:逗子事務所 重留和枝)

 

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